<連載>移植医療を問う (4) 臓器確保 米では優先

 北米からチャーター機で帰国する“脳死者”がいる。旅行中に脳血管障害などで倒れ、現地の病院で「脳死」と説明された人たちだ。

 2002年度からの4年間に米国から2人、カナダから1人いたことが、旅行保険を扱う「ジェイアイ傷害火災保険」(東京)の調査でわかった。驚いたことに、帰国後の治療で全員が意識を回復していた。

 大阪府に住む30歳代の女性も91年冬、ハワイで交通事故に遭って入院した時、駆けつけた家族が医師から「全臓器の提供」を求められた。家族の要請で治療が続けられ、1か月余り後に意識を取り戻して帰国した。今も記憶力には問題があるが、元気に働いている。

読売新聞 - 2006年12月15日