これだけは知っておけ!定年対策

 戦後生まれサラリーマンの定年退職が加速してきた。年明けにはリタイアを知らせる年賀状が増えるはずだ。まだ先のことと思っていた定年が急に身近になって、「そういえば、年金や退職金の税金はどうなるんだろう」と気になり始めるんじゃないか??。

●退職金の税金
 退職金にかかる税金は所得税と住民税で、これは給与と同じだが控除額や税率が違う。
 来年、30年勤続のサラリーマンが2500万円の退職金をもらったとしよう。20年以上勤めていると、まず一律800万円が控除され、さらに20年を超えた年数に対して1年につき70万円、30年勤続なら700万円が上乗せ控除される。2500万円から1500万円を引き、その2分の1、つまり500万円に税金がかかる。
 この所得税率は20%で、42万7500円の控除額があるので57万2500円。住民税は税率10%、控除額5万円なので45万円。合計で102万2500円である。
「面倒な計算をしなくても、退職の月までに会社に『退職所得の受給に関する申告書』を提出すれば源泉徴収で引き落とされます」(公認会計士)
 退職金の一部を一時金、残りを年金で受け取ると、年金分は雑所得とされ控除の対象にならない。一時金を退職所得控除の上限までにして、残りを年金で受け取ると課税額は最も少ない。

●雇用保険
 20年以上勤続の給付日数は150日で、仮に賃金日額を1万6000円超とすると、給付額は6808円(日額)。
 ここ数年下がり続けていたが、今年8月からちょっぴり増えた。給付額は毎年8月1日付で見直されるのだ。
 雇用保険の給付を受けるためには、会社から離職証明書をもらいハローワークで求職の申し込みをする。

●年金
 団塊サラリーマンは60歳から厚生年金の報酬比例部分を受け取ることができるが、定額部分は昭和22年4月1日までに生まれた世代は63歳から、22年4月2日?24年4月1日生まれは64歳から、24年4月2日?28年4月1日生まれは65歳からしかもらえない。ただ、受給請求はすべて60歳のときにやっておくのが原則だ。
「セカンドライフの設計を立てるためにも、定年前に自分の年金受給額がいくらになるかしっかり調べておくべきです。年金手帳・番号からインターネットで調べることもできますが、社会保険事務所に出向けば、どういう受給方法(一部繰り上げなど)がいいかなどの相談に乗ってくれます」(社会保険労務士)
 年金と雇用保険を同時に受け取ることはできないが、雇用保険の給付期間(150日+1カ月)の年金受給を繰り下げ、60歳6カ月からにすると、わずかだが年金受給額が増える。

●健康保険
 退職後の医療保険の選択肢は、「国民健康保険加入」「これまでの勤務先の健康保険で任意継続」「家族の被扶養者になる」の3つだ。在職中の健保保険料は労使折半のところが多いが、任意継続では会社負担はなくなる。しかし、収入が減るのでそのまま保険料が2倍になるわけではない。目安としては8掛けだ。
 月収が高かった人は任意継続、低かった人は国民健康保険が有利となる。

日刊ゲンダイ - 2006/12/28