社保庁法案 民間委託範囲先送り

「年金機構」スリム化なるか

 政府が先に国会に提出した社会保険庁改革関連法案は、社保庁を非公務員型の公法人「日本年金機構」に衣替えさせるとともに、年金関連業務を大幅に民間に委託することが柱だ。しかし、業務委託の具体策、不祥事を起こした社保庁職員の処遇などは、第三者機関で検討するとして先送りしており、安倍首相が訴えた「解体的出直し」の行方は不透明な面もある。

 公的年金に関する社保庁業務の大半は新法人の日本年金機構が引き継ぐ。悪質な保険料の滞納は国税庁に強制徴収を委任することも可能とする。組織をスリム化するため、年金相談事業や保険料徴収などの業務を民間企業に委託する。

 問題は、民間委託と組織のスリム化がどの程度進むかという点だ。法案では、内閣官房に設置する有識者らによる第三者機関「年金新組織改革推進会議」(仮称)が民間委託の範囲をまとめ、政府が最終的に委託を決定する仕組みとした。

 首相は有識者の人選から、委託決定までの責任者に柳沢厚労相ではなく、渡辺行政改革相を指名し、大幅な委託を目指している。しかし、厚労省からは早くも「民間委託を進めすぎると、非効率になったり、年金事務のミスを誘発したりする恐れがある」とけん制する声も出ている。

 約1万7000人の社保庁職員の処遇に関しては、医療保険部門の3000人を除く1万4000人のうち、500人程度は厚労省へ移り、年金運営などを担う予定だ。政府は新法人の定員を最大1万3000人と見込んでいる。

読売新聞 - 2007/3/19