顧客のためではなく保険会社のための医療保険?

 医療保険で女性特有の病気で入院した場合、入院給付金が通常の病気入院の倍額受け取れるとか、満期時や一定期間ごとにお祝い金が受け取れるといった内容が一般的です。

 男性中心の死亡保障マーケットが飽和状態になっていることから、次なる主力商品である民間医療保険の顧客層として、新たに女性を取り込んでいこうという保険会社の戦略でしょう。

 つまり、顧客にとって必要な保障かどうかは無関係です。

 確かに子宮筋腫や子宮内膜症、乳ガンなど、30歳を過ぎたあたりから入院を経験する女性が身近にたくさんいるでしょう。また、妊娠や出産にまつわるトラブルで長期入院をすることもあります。

 しかし、公的医療保険の医療給付に男女差別はありません。女性特有の病気でもそれ以外の病気でも医療費の自己負担は3割です。その金額が一定額を超えると、自己負担割合が1%になるという高額療養費制度も平等に適用になります。

 女性向け医療保険に飛びつく前に、ご自身の加入している公的医療保険の種類を確認してみてください。

 共済組合や健康保険組合に加入している方は、法律で決まっている給付以外に独自の付加給付があるかもしれません。

 例えば、1カ月当たりの医療費の自己負担が所定の金額(3万~5万円程度が多い)を超えたら、超えた分があとから戻ってくるという制度はありませんか。

 女性の場合、夫の被扶養者になっていることもあるでしょうが、家族も被保険者と同様の給付が受けられることがほとんどです。

 被扶養者になっている方は、自分自身の公的医療保険に加入していないために、保障が薄いのではと心配になるようですが、心配は要りません。サラリーマンの妻は公的医療保険の保険料を負担していなくても、給付はちゃんと受けられます。



日経ビジネス オンライン - 2007/4/23