米大統領と民主党、議会招集前に早くも溝

ワシントン──民主党主導の米連邦議会が4日招集されるが、ブッシュ米大統領と民主党幹部らの間では3日、財政問題や税金をめぐって早くも意見の違いが表面化した。党派間の争いの前兆とみられている。


米大統領は3日、ホワイトハウスで今年初の閣議を開いた後で演説を行い、新議会に対して歳出削減を目的とする項目別拒否権を請求し、減税の延長を呼びかけた。大統領は「国民の金は賢く使わなければならない」と述べるとともに、経済成長を持続するため恒久減税を実施する必要性を強調した。


また、米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、大統領は民主党主導の議会が従来通り「政治声明に過ぎない法案」を通過させようと試みた場合、こう着状態に陥る危険を冒す、と語った。


民主党は直ちに慎重姿勢を表明。メアリー・ランドリュー上院議員(ルイジアナ州)はFOXニュースに対し、「国民が税金を払いたがらないことは承知しているが、問題となっている事実は、現政権が記録的な財政赤字を作ってしまったことだ。こうした財政赤字は、米国の安全維持を目的とする必要投資の実施能力にとって真の脅威となる」と語った。チャールズ・シュマー上院議員(ニューヨーク州)も、大統領の対応を懸念する声明を発表した。


ブッシュ米大統領は項目別拒否権を、社会保障や高齢者向け医療保険制度(メディケア)など公的給与金制度を改革する主な手段と位置づけている。過去の大統領も項目別拒否権を請求したが、議会は立法権への影響を懸念し、拒否権承認に消極姿勢を示してきた。類似した権利を議会から承認されたものの、憲法が定める三権分立に違反するとして連邦高裁で棄却されたクリントン前大統領の前例もある。


ステニー・ホイヤー次期下院多数党院内総務(メリーランド)は、項目別拒否権が大統領権限を過度に拡大しており、各議員が地元選挙区に貢献する能力を削いでいると指摘した。

CNN Japan - 2007年1月4日